つくばのプロジェクトM

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2013年 09月 24日

フレームに使うカーボンチューブ


 シートポスト径のサイズから生じた疑問について、松永さんにお話を伺った。多分細かく聞くともっといろいろとあるのだろうが(ご本人は大して複雑な話ではないと言われていたが)うかがった概要を、覚えている範囲で記したい。

 元々、フレームを構成するチューブ(特に力のかかるボトムチューブとシートチューブ)の太さは、クロモリの時代では28.6 mm と決まっていた。ちなみに、前者2本ほど力(加重)がかからないトップチューブは、1インチで25.4 mm。カーボンチューブがなかった時代のスタンダードとして、イシワタ019(番号は違ったかも知れない。ひょっとしたら、カイセイxxxだったかも。いい加減でスミマセン。メモをとりながら聞いていたわけではなかったので)があって、それをモデルにカーボンチューブの設計を行った。どの弾性率のカーボン繊維を用いるかだけではなく、繊維の方向性、その重ね方、等々で、できあがるチューブの物性は大きく変わる。繊維を長軸方向に配向させ、それに斜めになるように直交した繊維を重層することで、モデルとなったクロモリチューブと同等の物性のものが得られ、それをずっと用いてフレームを制作している。

 このようにして制作したカーボンチューブであるので、まずは、外寸ありきで、内寸は物性を達成するために必要なカーボンの肉厚によって決まっている。外寸が28.6 mm の規格であることのメリットは、いろいろな小物が豊富なのでそれを使えるという点。デメリットとしては、シートポスト径が現在のトレンドとずれてしまっている点だろうか。

 実は強度的には、カーボン肉厚はもっと薄くすることは可能。ただ、チューブの断面方向に荷重がかかったり衝撃が加わったりしたときの実用性を考えて、あえて肉厚にしている。アルミフレームやカーボンフレームで多く見られるオーバーサイズのチューブは、チューブ外径を大きくすることにより、より薄い肉厚で同等の強度を出すことが可能なので、軽量化のために多用されている。プロジェクトMでもオーバーサイズのチューブは用意してあり、その肉厚は標準太さのチューブより薄い。ただこれも適材適所で、この薄い肉厚のチューブをシートチューブに用いると、フロントディレーラー固定用のバンドでチューブが破断する可能性などが出てくる。

 現在使用しているのと違うカーボンチューブを用いる可能性については、現時点ではあまり積極的ではない。今使っているものは、その物性の測定などを細かくデータとして持っており、また、それを用いたフレームを多数作成する中で、どう使い分ければどんなフレームになるかの経験値がたまっている。新しいチューブを使う場合には、それらをゼロからやり直すことになるので、なかなか難しい。

 といった、とても興味深い話をお聞かせ頂いた。現在のカーボンフレームはチューブの極太化、異形化が進み、また、BBやヘッドパーツもオリジナル規格ばかり乱立している状況をどうお考えか? と聞いてみたところ次のように話された。

 BBなどだけでなく、シートポストも真円ではなく異形化になり専用のもの以外使えず、サドルを後退させたい人が困っている例などもある。結局のところ、使う人が、それらをどう考えるか、異形化を魅力と思うか不便と思うか、それ次第ではないだろうか。プロジェクトMとしては、なるべくスタンダードなパーツの互換性がある方がより良い(シートポスト径については、前述の事情で残念ながらそうはないっていないが)、というスタンスでデザインしている。

 なかなかまとめきれませんが、一連のお話を伺い、松永さんとしては実用性に重きを置いたきわめて堅実な製品作りを目指されている、と感じた。ここで言う実用性というのは、あくまでもロードレーサーを中心としたスポーツバイクに必要十分な範囲の中の話であることは言うまでもない。また、松永さんのルーツはクロモリフレームにあり、プロジェクトMもその延長線上に位置づけられている、ということがわかったように思う。

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by rk_tsukuba | 2013-09-24 00:56 | Project Mの発注から納車


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